11|2017年03月12日 復活前5 悪と戦うキリスト

週    句

キリストがわたしたちのために死んでくださったことにより、神はわたしたちに対する愛を示されました。
ローマの信徒への手紙 5:8
説  教    「神の国は来ている」! :梅田 環

悪と戦うキリスト
イザ35:1~10、Ⅰヨハ3:1~10、マタ12:22~32、詩130:1~8。

まず強い人を縛り上げなければ、どうしてその家に押し入って、家財道具を奪い取ることができるだろうか。まず縛ってから、その家を略奪するものだ。
マタイによる福音書 12:28


 悪魔を強い人に譬え、その強い人を縛り上げるからこそ、彼に支配されていた者を解放することが、すなわち、癒しができるのです。「奪い取る」との表現に、わたしたちが捕らえられ、救われる不思議が込められています。略奪ですから一方的になされます。様々な者に支配されて、神に従えないでいるわたしたちが、神の赦しと愛の中に奪い取られていくのです。
 「(内輪で争えば)荒れ果ててしまい」をカルヴァンは「自滅し」と訳しました。神の支配を望みつつも、意に反する神の御心を受け入れないという矛盾を抱えていたら、わたしたちは自滅してしまいます。
 イエスさまは、「わたしが神の霊で悪霊を追い出しているのであれば、神の国はあなたたちのところに来ている」と言われました。「国」は「支配」とも訳されます。神の支配を信じる所が神の国、神の支配される場で、「あなたたちのところ」、弟子たちがいる場所に来ているのです。ファリサイ派に勝手なことを言われ、言い負かすこともできず、迫害される所です。そこに、悪魔に勝った主がおられます。敵を討ち、神の平和を打ち立てる主です(イザ35:4)。
 神の力を疑わせる悪魔の力から、わたしたちは解放されなければなりません。わたしたちを恵みの中へと奪い取る神に委ねることが、わたしたちのなすべき応答です。自分の中で内輪もめしているわたしたちは、降参して、「主に望みをおき」(詩130:5)、神の支配の許に留まり続けたい者です。