40│2021年10月10日 聖霊降21 上に立つ人々

週 句 地とそこに満ちるもの世界とそこに住むものは、主のもの。
    詩編23編6節
説 教 「あなたを神に返すために」高橋牧師
    マタイ22章15-22節

「神のものは神に返しなさい」

『脱学校論』で有名な思想家であり、元神父であるイヴァン・イリイチ(1926-2002)は、度重なる教会批判によって1960年代末にヴァチカンを破門されて後、積極的に産業社会批判に取り組みました。彼の批判の矛先となった社会(日本をはじめとした先進国の現代の姿でもある)は、高度に医療が発達し、常にスピードが重視され、物事が自動化されていくことが持て囃(はや)され、そうした技術を開発しコントロールする一部の専門家に人々が依存していかざるを得ない世界です。そこに生きる人々は、物事一つ解決するにも従属的な存在としてしか生きられなくなってしまいます。「専門家」の権力は拡大し、彼らのつくる制度や彼らの自己実現欲求を満たすための枠組みのなかでしか生き残ることができません。新型コロナウイルス流行以降の時代を生きる私たちは、そろそろ自分の身体のことやライフスタイルまでも牛耳られてしまうこの生き方からなんとかして脱却したいものです。
イエス様のもとに遣わされたのは、冠詞付きのの弟子たちとヘロデ派の人々です。ふつうはファリサイ派の人々には弟子はいません。当時のユダヤ教ファリサイ派の構成員の多くは、中産階級の信徒の人たちであったからです(バプテストの教会で、誰も誰かの弟子ではないというのと似ているかもしれません)。日常生活の中で律法を守ることに非常に熱心であったので、彼らの中から律法学者や議員になる者たちもありました。ここに描かれているのが、いかにもファリサイ派っぽい人たちの弟子という人たちだとしたら、彼ら自身がイエス様を攻撃したかったというよりは、ファリサイ派の人々の言いなりにならざるを得なかった人たちなのでしょうか。ヘロデ派の人たちは、政権与党ヘロデ王の差し金です。結局ここに来たのは、本人たちに自覚があるかどうかはわかりませんが、世間の二大勢力に利用された人たちと言って差し支えないでしょう。前者は宗教の専門家、後者は政治の専門家です。
イエス様は、聞かれてもいないことを彼らに答えます。「神のものは神に返しなさい」。人間はすべて神のものです。