48│2018年11月25日 降誕前5 王の職務

週    句

腰に、帯を締め、ともし火をともしていなさい。
ルカによる福音書 12:35
説  教    「三十歳で王となり……」 :梅田 環

王の職務
サム下5:1~5、Ⅰコリ15:20~28、ルカ23:35~43、詩18:47~51。

ダビデは三十歳で王となり、四十年間王位にあった。七年六か月の間ヘブロンでユダを、三十三年の間エルサレムで……。
サムエル記下 5:4〜5

 イスラエルの王となったダビデは、統一王国を築き、人々に豊かさと繁栄をもたらしました。圧倒的な強さを示す王に、人々は誇りを持ちました。その後、多くの苦難を経験した古代イスラエル人は、ダビデの末裔からダビデのような王が誕生するのを待ち望みました。
 ところが、待ち望んでいた王であり救い主であるイエス・キリストは、王位に就くどころか、貧しいまま。貴族たちと交流するのではなく、罪人、病人、こども、社会の周縁に置かれた人々と寝食を共にし、神の恵みを分ち合いました。最終的には捕らえられ、十字架で死に、罪状書きには、「ユダヤ人の王」と記されます。
 そのユダヤ人の王が十字架上で語ったのは、罪人に向けた「あなたは今日わたしと一緒に楽園にいる」という言葉でした。死を迎える恐怖の時、人々が見捨てる時でさえ、「あなたを見捨てない。あなたと共にいる」と、約束してくださっている。そう、すべての人が神の救いに与るとの約束を、最後の最後まで語り続けたのです。
 イエスの姿は、ダビデとは正反対。ダビデは武力で強さを誇り、人々を癒す竪琴を奏でることができ、人々から愛され、権力も与えられた。しかし、全てを持ち合わせているかのように思える偉大な王といえども、完璧な人間ではなく、欲望に支配されて権力を乱用する場面も多々あった。そのような王のもとでは、真の意味でわたしたちが解放されることはあり得ません。わたしたちは、どのような王を心の内に迎えるのか。他者を打ち倒し、自分の富を増やそうとする王か。欲望のためには、他者の犠牲も厭わない王か。