32│2020年08月02日 聖霊降臨10 命の糧

週    句

光の子として歩みなさい。光から、あらゆる善意と正義と真実とが生じるのです。
エフェソの信徒への手紙5:8,9
説  教  「命の糧」


列王上17:8~16、ローマ14:10~23、ヨハ6:22~27、詩編68:2~11。

パウロは教会内の具体的な課題への勧告として、人間同士の関係を取り上げています。コリントの信徒への手紙一においてもこの課題が切実なものとして取り上げられていますが、まだ訪れたことのないローマの教会に対してこのような具体的課題について書き送るということは、この課題がどこにおいても、いつの時代も起きうることであるということを如実に表しています。三人集まれば派閥が生まれるとはよく言ったものです。
もちろん、この個所では教会内のこと、特に「信仰」を巡る事柄の中で議論がなされていますが、教会にとどまらず、この世界の様々な状況に当てはまることは言うまでもありません。しかもそれが「強い」と「弱い」という対比の中でなされていることから、より深い闇を感じます。あるいは、「清さ」と「汚れ」という概念において、これまでの歴史の中で一体どれだけの人々が傷つけられ、苦しめられ、退けられてきたことでしょう。パウロはそのような裁き合いについて、もう終わりにしようと言います。さらに自己絶対化によって異なる存在を切り捨てることは「もはや愛に従って歩んでいません」とさえ指摘するのです。
誰しも自分が大切にしていること、自分が拠りどころとしていること、これだけは譲れないことを有しています。それはアイデンティティに関わる問題です。しかし、私の隣には自分とは異なることを大切にしている人がいることに心が向けられて行かない。「兄弟を滅ぼしてはなりません。キリストはその兄弟のために死んでくださったのです」(14:15)との言葉は、この私の視点を異なる他者のあり様へと向けさせていきます。キリストが宣べ伝えた神の国は「聖書によって与えられる義と平和と喜びなのです」との言葉を、平和聖日のこの日、心に刻み、違いを超えて互いに受け入れ、尊び合う中で平和を実現するものとしての歩みを始めましょう。
「礼拝と音楽」より