07│2018年02月11日 降誕節7  奇跡を行うキリスト

週    句

今、わたしたちは、エルサレムへ上って行く。人の子について預言者が書いたことはみな実現する。
ルカによる福音書 18:31
説  教   「向こう岸に渡ろう」    :梅田 環

奇跡を行うキリスト
ヨナ1:1~2:1、ヘブ2:1~4、マコ4:35~41、詩125:1~5。

イエスは、「向こう岸に渡ろう」と弟子たちに言われた。…
しかし、イエスは艫の方で枕をして眠っておられた。……
イエスは言われた。「なぜ怖がるのか。まだ信じないのか。」
マルコによる福音書 4:38、40

 イエスは、なぜ、眠っておられたのでしょうか。弟子たちの信仰を試すためでしょうか。そうではない。眠りは我が身を委ねる行為であり、弟子たちへの全幅の信頼、それが「眠る」という行為に現れています。大嵐のため舟は大揺れ、いつ転覆してもおかしくない状況で、弟子たちはパニックに陥っていました。
 弟子たちは元漁師。湖で毎日漁をし、生活を立てていた操舟のプロ。
しかし、弟子たちは、荒れ狂う波に右往左往し、身に着けていたスキルを発揮することができないのです。わたしたちも、困難な出来事に遭遇したとき、足元が揺さぶられます。そして自分の経験が無駄に思え、身に着けたスキルが役に立たないと、無力感を覚えます。そのとき、自分を信じることができなくなってしまいます。
 どうしてよいか分からないとき、助けを求めて、神に呼びかけても、応答はない。神はおられないのではないか、そのような疑いさえ湧き起こります。弟子たちが、わたしたちがどうなってもかまわないのか、と嘆いたように、また、神はわたしたちを見捨てたのではないだろうか、と感じることもあります。しかし、神はおられないのではありません。イエスが大揺れの舟の中で眠っておられたように、安心して、わたしに身を委ねてくださっているのではないでしょうか。つまり、わたしたちのスキル、わたしたち自身を信じて下さっているのでは?
 「まだ信じないのか」とのイエスの言葉は、「まだ信じないのか、わたしがあなたを信頼しているということを」と、響いて来る。