45│2017年11月05日 降誕前8 堕落

週    句

悪に負けることなく、善をもって悪に勝ちなさい。
ローマの信徒への手紙 12:21
説  教    あなたの心はどこに?   :梅田 環

堕   落
創4:1~10、Ⅰヨハ3:9~18、マル7:14~23、詩51:3~11。

主はカインに言われた。「お前の弟アベルはどこにいるのか。」
創世記 4:9

 「人間の心から、悪い思いが出て来る」と言われるように(マル7:21)、わたしたちは、理性では抑えきれない罪を、持っています。嫉妬もその一つで、自分でも持て余し、そういう感情を生じさせた者のせいにして、自分を正当化したいのです。
 殺人を犯した兄に、「弟はどこか」と神さまは問いかけます(創4:9)。が、神さまは全てをご存知ですから、そう尋ねつつ、本当は兄カインを探しておられるのです。「弟を殺すほど憎んだあなたの心はどこにあるのか」。そう尋ねられても、わたしたちは自分のことを直視できません。人を妬み、八つ当たりしたことなど認めたくないのです。しかし、「知りません」と答えるとき、次の罪を犯します。殺された人がいるのに、自分が殺したのに、知らないことにするという罪です。殺したいほどに怒り、憎み、苦悩して来た自分をも「知らない」と言って切り捨てたのです。神さまが「ああそうか」と言って、引き下がってしまったら、彼はそこに置き去りにされてしまします。正当化しきれない自己を抱え、神の問いにしらを切り、善人と見せかける人生を送ることになります。その生は、神に生かされているとは言いがたく、「死にとどまったまま」です(Ⅰヨハ3:14)。
 彼は自分が殺されてもおかしくないことを自覚していますが、神はだれも彼を撃つことのないようにされました(創4:15)。彼にも救いが備えられているのです。彼が死ぬべきところを、イエスさまが代りに死なれ、命を捨て(Ⅰヨハ:16)、罪から清めてくださるのです。
 わたしたちが自分の罪を思うことができるのは、罪を共に背負ってくださる方がいるからです。